みむのいつでも夏休み日記

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zoom RSS 建物紀行 墨会館(愛知県一宮市)

<<   作成日時 : 2015/03/01 12:03   >>

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当地方で日曜12:00〜13:45に放送されている”スタイルプラス”という情報番組がある(フジテレビ系列 東海テレビ)。
その中に、”お宝照英”というコーナーがある。

照英さんが各地のお宝を訪ね、町の魅力を再発見!
国が文化財保護法で定めた重要文化財、史跡、名勝、天然記念物・・・をレポートするというコーナーだ。


2月15日の放送で、世界的建築家、丹下健三氏が手掛けた建物 墨会館 (愛知・一宮市)が取りあげられていた。
そんな建物があるとは初めて知ったが、一度見に行こうと思い立った。

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墨会館は、1957年(昭和32)8月に竣工された建物で、平成20年に国の指定文化財に登録された。
それまでは艶金(つやきん)興業株式会社の本社として使われていた建物だ。
同社が一宮市に譲渡し、現在は公民館として利用されている。(小信中島公民館)

譲渡後は公民館として使用するための改修工事(耐震補強が主)がなされていたそうで、完成したのが昨年の11月。


以下、『』(二重カギ括弧)内は ”文化財ナビ愛知” より引用させていただきつつ、写真を交えて紹介する。
http://www.pref.aichi.jp/kyoiku/bunka/bunkazainavi/yukei/kenzoubutu/kunitouroku/1327.html


『艶金(つやきん)興業株式会社の事務所である墨会館は、1957年(昭和32)8月に竣工した。
設計は、当時東京大学工学部建築学科助教授であった丹下健三。』


艶金興業(明治22年創業)は地元では有名な企業で、以前この地域が繊維業が盛んだった頃に隆盛を誇った企業だ。


さて、ネットで調べた電話番号をもとにナビで検索。あとはナビに誘導されて現地に到着。便利な世の中になったものだ。




駐車場は建物の北西の角を北西へ少し行ったところにある。(最初は少々わかりにくかった)
(航空写真の斜めの道を左上方向へ少し行ったところ)
1階に受付があるので、そこで住所、氏名を記入すると見学ができる。

この日はたまたま副館長さんがいらっしゃって、案内していただくことができた。
また、館内には説明パネルも掲示されている。



『 敷地はノコギリ屋根の工場に隣接しているため、1階部分全体は、わずかの窓がうがかれたコンクリート壁で囲まれ、外部に対して閉鎖的にしている。
また、周壁上端と屋根部分との間に水平スリットを入れ、外周壁部分は荷重を支えない構造としている。』

現在では、ノコギリ屋根の工場はすでになく、その土地は医薬品メーカーの大きな工場が建っている。
建物の外周は北面を除いてコンクリートの高い壁に囲まれており、開放的な雰囲気とは言えない。
少々入りにくい雰囲気すらある。

副館長によると隣にあった織機工場の音を遮断するために壁を設けた設計になっているとのことだった。(なるほど)
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なお、北面はテラコッタになっている。これは通風を考えてとのこと。(下の写真)
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『 敷地は斜辺を西側に北東角を直角とした三角形であるが、北西角の一角を神社の敷地とし、角を丸めた台形になっている。

敷地北側に事務室ブロック、南側に集会室ブロックを配し、両ブロック間は色付きテラカッタグリルの障壁で東西に分ける。

その東側に玄関車寄、西側に芝生の中庭がある丹下作品の同時期の倉吉市庁舎や香川県庁舎と同様な空間性を示している。

閉鎖的な外部に対して、内部空間は開放的である。

伝統を踏まえたコンクリート構造表現を追求した、建築家・丹下健三の代表的建築のひとつといえる。』


建物の造りは上の航空写真を見ていただくとわかりやすいだろう。



まずは、敷地中央東側のピロティから。ここはもともと車寄だそうだが、現在は駐車禁止。
屋根の開口部から光がふりそそぐ。
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右にある花台には当時、客人を迎えるための花などが植えられていたそうだ。
テラコッタの向こう側は中庭になっている(後述)。
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次に、敷地北側にある事務室ブロック。
入ると吹き抜けのロビーがあり、その傍らに2階へ続く階段が目に入る。
階段は分厚い木の板でできていて、かなり立派だ。
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天井も板が張ってある。これらは当時のものだそうだ。
そして、空間がなによりも明るい。外壁から想像される陰鬱さは全くない。採光を考えた設計になっている。
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入って左手(西)へ入って行くと、中庭に面した廊下がある。
南向きの窓からは明るい光が差し込んでいる。
驚いたのは、この窓は雪見障子風になっていること。(貼られているのは紙ではなくFRP)
そのため、光が柔らかい。
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その傍らにある椅子も丹下健三氏による設計。(置いてあるものはレプリカ)
背もたれがしなってなかなか座り心地が良かった。
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どことなく和風な感じがすると思ったら、副館長さんが、日本の木造建築をコンクリートで再現した設計なのだと教えてくれた。(なるほど)


掲げられていた説明パネルをいくつか撮影させてもらった。
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ここの壁は織物が貼られている。(現在は直接触れないようガラスでカバーされている)
壁の中央部にあったのは時計の跡と、並んだ電球ソケット。
これは社長や役員さんたちが会社にいるかどうかを、電灯で社員に知らせるものだったとのこと。
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1階はパーティションでいくつかの会議室に区分けされている。
このパーティションという造りは当時としては画期的だったようだ。
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資料室と銘打たれた部屋には当時の設計図が壁に飾られていた。
また、それをもとに印刷した大きな図面帳が置いてあって、めくって見られるようになっていた。
設計がわかる人には面白いのではなかろうか。
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2階へ上がる。
2階の見学は本来、事前申し込みが必要だったのだが、運良く副館長さんがいらっしゃったので案内していただけた。

2階へ自由に上がれないようにしているのには理由があって、公共施設として開放するには手すりの高さが規定より低いのだそうだ。
人が落下する恐れがあるということなのだが、かと言って改造すると当時の姿から変わってしまって、建物としての価値が下がってしまう。
その折衷案ということと伺った。


2階には社長室、役員室があるフロアになっている。
廊下、そして各部屋は緋色の絨毯(ふかふか)が敷かれている。歩くのが少々はばかられる。

社長室(後の会長室)はやたら広い。こんな広い場所にひとりでいるのは寂しそうだ。
実際、社長がこの部屋を使うのは来客等の時だけだったようで、日頃は1階の事務室にいたとか。
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隣の部屋を仕切る西面には作り付けのラック(棚)がある。これも立派な木材でできている。
なんとも和風でありながらも、モダンでかっこいい。

社長が好きだったオーディオセットやレコードが収納できるようになっていた。
左1/3の位置にある黒い板は黒板で、ここで簡単なプレゼンができるようになっている。黒板も決めの細かい上質なものだった。

天井間際はガラスがはめられており、採光と開放感に役だっている。
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各部屋からバルコニーに出られるようになっている。
バルコニーは超幅広で、それを覆う軒も超幅広だ。
これだけ広いと、多少の雨なら窓を開けておいても降り込むことはないだろう。
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大きく張り出した片持ち梁(というらしい)が印象的だ。
また、バルコニーの柵は鳥居を模した形になっている。
(この柵は子供なら簡単にくぐり抜けられてしまうので、お子さん連れの方は注意してください)
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柱はコンクリートなのだが、表面をよく見ると杉の木目になっている。
これは杉板を型枠にし、そこにコンクリートを流し込むと、木目が転写されるということらしい。
これも、”コンクリートで木造建築を再現する” 考えの一環なのだろう。
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西側の窓には日よけ(鉄製)が並んでいる。
左の床に見えるのは採光のための天井窓。(雨漏り防止の為、改修工事でサッシ枠を取り付けたそうだ)
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そして、ベランダからは中庭と、南側の集会室ブロック(ホール)が見える。(左手奥は隣の医薬品工場)
中庭は大変広い。
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植え込みの木の根本に一箇所石が埋め込まれているのがわかるだろうか。
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これは、艶金興業の名前の由来にもなった、艶出し作業に使っていた石だそうだ。
艶出しとは、織物を木槌で打って万遍なく平均に艶を出す作業で、その土台に使われていたものをここに記念で埋め込んだとのこと。(副館長さんの説明を受けなければ気づかなかっただろう)


“艶金”の語源について”
http://www.tsuyakin.co.jp/company/info02.html


中庭には1階から自由に入ることができる。
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中庭から事務所ブロックをみたところ。
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ピロティとの仕切りにあるテラコッタ。
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さて、いよいよ南側の集会室ブロック(ホール)へ入る。ここがこの建物の真骨頂と感じた。

ホールは重厚でありながらも、重くなりすぎず、洋風でありながらも和風でもある空間だった。
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正面のスクリーンには金屏風風のカバーがついている。カバーやその下の壁は織物が貼ってある。
スクリーンには当時、映写機で映画を投影したりしていたとのこと。
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入口側。2階に映写機を置くスペースがある。
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天井から吊り下げられている電灯は昇降できるようになっている。
昔の電球は暗かったため、必要に応じて頭上まで下げて、明るさを調整できるようにとの設計。(驚いた)


ホールの隣のスペース。ダブルビームの梁がかっこいい。
それと、天井間際のスリットから差し込む光が印象的。
(ここで個展でも開いてみたいなあ)
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集会室ブロックの廊下から中庭を望む。
当時は、中庭とホールを一体的に使って園遊会やパーティが催されていたとのこと。
(そのための調理スペースも館内にある)
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以上、洋風と和風のコラボレーション、斬新さ・モダンさに感服した。
1957年(昭和32)竣工なのに古さを感じさせないのは、設計もさることながら、艶金興業の方々が大切に使ってきたことの証だろう。

副館長さんの案内もあっていろいろと勉強できた。ありがとうございました。

是非一度訪ねて見られることをおすすめします。



一宮市HP − 国登録有形文化財「墨会館」の見学・集会室の利用
http://www.city.ichinomiya.aichi.jp/division/gakushu/kouminkan/26/sumikaikan/sumikaikan.html



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